また、議員提案として提出した「原発事故避難者に対する住宅供給の継続を求める意見書」を賛成多数で可決しました。
賛成14人;日本共産党市議会議員団3人、湘南フォーラム4人、創生会4人、無会派3人
反対13人;清風クラブ8人、公明ひらつか5人
最終日に、私が、平成29年度平塚市一般会計予算に対し、意見も付して反対討論を行いました。今議会でも、予算に対する討論を行ったのは、私たち議員団だけでした。賛成するにしても、意見も付さずに討論もしないのはどうなんだろうと思います。市民のみなさんに対して会派としての予算に対する評価はすべきではないでしょうか。
討論の内容を以下に掲載します。
日本共産党平塚市議会議員団を代表して、議案第23号 平成29年度平塚市一般会計予算に反対する討論を行います。
政府の財政見通しとして、「雇用・所得環境が引続き改善、民需を中心にした景気回復が見込まれる」としています。しかし、総務省「家計調査」では、平成28年度の2人以上世帯の実質消費支出の対前年同月比で、うるう年の2月を除いて、全ての月で最大5.3%から0.3%とマイナスで推移し、深刻な消費の落ち込みが続いていることが示されています。
雇用が増え、有効求人倍率が上がった、と言われています。たしかに雇用者数は増えていますが、問題はその内容です。平成28年の雇用状況は、平成24年との比較で労働者は131万人増えました。しかし、その内訳は、正規雇用が36万人減少し、非正規雇用が167万人増加しています。労働者の実質賃金はこの4年間に、年額で19万円も減少しました。「アベノミクス」の行き詰まりと破綻により格差と貧困が拡大し、正規雇用と実質賃金の減少で中間層が疲弊してしまったことが大きな問題です。貧困と格差をなくすための行政としての支援が強く求められます。
平成29年度の平塚市一般会計予算は、855億5千万円、前年比33億円4%増の過去2番
目に多い当初予算となりました。しかし、増加した大きな要因は、ツインシティ整備促進事業13億5,700万余円、相模小学校移転整備事業20億1,400万余円、総合公園管理運営事業12億3,800万余円などです。市民の暮らしや景気の回復につながる予算が大きく拡充されているとは言えません。市政運営の軸足を市民のくらしと福祉を守り、教育や子育て環境の充実、市内中小零細企業や商店街の活性化と生業を守り継続させるという施策を重点にすることが何よりも求められます。
また、歳入では、個人市民税が153億5千万円、前年比1億8,600万円1.23%増となりました。本会議での質問に対する答弁で、増収の要因については、特別徴収の強化による収納率の向上とのことでした。賃金や年金が減少し市民税や国保税など払いたくても払えない市民に対し、単に納税を求めるのではなく、一括して相談できる窓口を設置し、暮らしが成り立つ親身になった相談を進めることを求めます。また、管理職を含め職員の長時間労働の実態は深刻です。正規職員の削減ありきの方向ではなく、職員の心身の健康管理と市民サービスの質的向上を目指すためにも、必要な人員配置への転換を求めます。
次に、平成29年度当初予算で評価すべき点や意見を付す点を申し述べます。
総務費では、地震・津波防災対策事業で、平成28年度に実施した12の住宅密集地区・道路狭隘地区以外の市内全域を対象にした感震ブレーカー設置費用が計上されたことは評価できます。合わせて、高齢者・障がい者等の命を守る対策として家具転倒防止対策の検討を求めます。
民生費では、民間保育所助成事業で、市外から転入し、市内の民間保育所へ就職した保育士に対する貸付金制度を新設することになりました。市内の潜在的保育士への再就職支援や他業種に比べ賃金が低い保育士の処遇改善のための支援策を検討してください。
また、小児医療費助成事業では、県内33自治体中、8市9町1村の18自治体で中学3年生までの通院医療費無料化が拡大しています。引き続き、所得制限の撤廃を要望します。
生活保護者自立支援事業で、生活保護世帯等子ども学習支援の対象を、中学3年生から中学2年生まで拡大したことは評価しつつ、中学1年生や高校生など更なる対象の拡充を求めます。
衛生費では、母子保健事業では、妊娠・出産・子育てにわたる切れ目のない支援を実施するために、子育て世代包括支援センターを保健センター内に開設します。不安や悩みを抱える母子に寄り添った丁寧な対応を望みます。
商工費では、働きやすい環境づくり促進のために、「イクボス宣言企業登録制度」を推進し、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業を引き続き支援するとしています。その前提となる処遇や労働条件が改善されているのかを捉えることが必要です。雇用形態は正規雇用か、長時間労働がないのか改善されているのか、有給休暇等は消化されているのか、など基本的労働条件改善こそが行政として支援すべきではないでしょうか。
教育費では、児童生徒就学援助事業で、支給基準の変更により、共働き世帯での対象範囲が拡大されたことは評価できます。しかし、母子家庭で対象から外れる世帯が発生するとのことです。この世帯については丁寧な相談と支援策の検討を求めます。
最後に、平成29年度平塚市一般会計予算に反対する理由を申し述べます。
個人を識別するための番号の利用に関するシステム構築及び庁内ネットワークの運用が推進されることによります。当初予算案には、番号法施行に係るシステム改修委託料が各所に計上されています。市は、身近で利用しやすい行政サービスの推進として、個人番号カードを活用して証明書コンビニ交付導入するとしています。私たち議員団は、番号法実施に対して、①国が国民を一括管理し徴税強化や社会保障費給付削減の手段となりかねないこと、②世界でも個人番号制を実施している国々では、漏えいやなりすましによる事件が相次ぎ社会問題になっていること、③民間企業を含め、こうした情報漏えいの危険性に対し、何らの具体的対策が打たれないまま推進されていること、④国や行政の手続きは簡素化されるが、市民にとってのメリットは少なく、漏えいの危険性などデメリットの方が大きいことなどから反対してきました。
よって、個人番号制度実施に係る予算が計上されている、議案第23号平成29年度平塚市一般会計予算に反対し、討論といたします。